京都の中のフランス(「半径一メートル以内の好奇心」から外へ出るために(1))

授業でフランス文化を教えているが、学生たちにとっては、フランスとは遠い憧れの存在であり、映像で見る美しい街並みや風景、フランス料理やファッションやブランドの国であるようだ。 フランス文化の授業だけでなく、学生を前にして最初の授業でまず言うのは、「半径一メートル以内の好奇心から出よう」ということだ。その「半径一メートル」というのは勿論比喩のつもりで言うのだが、ときどきこれは比喩ではなく本当に半径一メートル以内のこと、つまり自分のほんの身近な、慣れ親しんだ世界にしか興味を抱かないというより、それで満足している学生が多いように思えることがある。携帯電話やインターネットで物理的には何千キロ、何万キロと離れたところの情報を得ているとしても、自分にとって異質なものに興味を持とうとしなければそれも「半径一メートル以内の好奇心」に過ぎないと思う。なぜそれじゃあいけないの?という質問が出たとしたら、「いけなくはないけれど、せっかくの学生時代、せっかくの短い人生、もっとどきどき、もっと楽しくしたくないかい?」というくらいのことしか言えない。

そうは言うものの、自分でも普段気心のしれた人とだけ会って似たような会話をしてしまいがちだ。そんな自戒をも込めてできるだけフランス文化と生身のフランス人と接する機会を持とうとしている。月の最初の日曜18時からは京阪三条駅の近くのアイリッシュパブで、また毎週水曜日の19時半からはcocon karasumaの一階のフレンチカフェでフランス人とのフリートークの会があるが、時間があるときは参加している。

仕事や留学や日本人と結婚したことなど、理由は様々なフランス人がこれほど京都に多く住み、日本人や、フランス人とのまったく無償の会話を楽しみたいと思っているように見えることに驚く。

先日、初めてだが別のことに驚いた。水曜日の会に出たら、一年前に教えた大谷の学生が3人と大谷の別の学生1人が参加していたことだ。こちらは緊張し、必要以上に頑張って話してしまった。嬉しいような恥ずかしいような気持ちだった。その学生の中でも一番うまくコミュニケーションできていたように見えたのは、フランス語の単語5つくらいを日本語でつなぎながら話していた女子学生であった。君は偉い。コミュニケーションの基本を彼女は知っていると思った。

また木曜日には関西日仏学館で19時から映画を上映し、解説とディスカッションが行われるシネクラブにも参加している(有料。ホームページで確認のこと)。 参加しているぼくにとっては人生の先輩にあたる年齢の方々の知的好奇心には感心させられ、励まされる。

以上がさしあたってのぼくが経験している京都のフランスだ。 これを読んでくれているあなたに「京都の中のフランスの一部」を紹介し、あなたも誘いたいが、ぼく自身が「半径一メートル以内の好奇心」から外へ出ているかという問いかけはこれからも続けていきたい。

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