理想のクラスコンパ

19日はゼミの最後の授業であり、各自が提出した卒論の結論を中心とした報告を行った。就職が決まった学生の企業の研修が始まったせいか、クラスコンパの日がなかなか決められなかった。ある学生がその授業の日しか休めないということで授業後にコンパを行うことになった。ふと大学から歩いて数分のところに鍋ができる店があることを思い出し、学生と一緒に行き一週間前に予約したのだった。
 
前にこのブログで、ぼくにとってのパリの「理想のレストラン」について書いたが、思いがけなくも、この日のクラスコンパは長い間思い描いていた「理想のコンパ」であった。隣り合った学生たちだけで会話をかわすのではなく、15人という参加者全体に言葉がうねりのように寄せては帰っていく。みな微笑み歓声を上げる。
 
思えば奇跡のように偶然が重なったからなのだろう。まず論文を提出し、全員の前で自信を持って報告できたこと。「鍋」という、作ること、とりわけることを共同作業として行うことにより、必然的に言葉を交換し、食べることがより楽しくなる。

ブリア・サヴァランの「人を食事に招くということは、その人がわが家にいるあいだずっとその幸福をひきうけることである」という言葉を身をもって経験したような幸福な時間だった。
 
店も貸切りにしてもらえた。また、ビールが「瓶ビール」しかなかったことが幸いした。ぼくにはそれほど心を開いてはいないと思っていた学生から「先生どうぞ」という言葉とともに注いでもらった時、笑われてしまうかもしれないが、ふとこんなことは何年ぶりのことだろうと、胸が少し熱くなった。現在は殆どが「チューハイ」やカクテルなど自己充足してしまう飲み方が主流になっていたし、ワインでも学生から注いでもらうということは殆どなかったからだ。
 
そして何よりももっとも大きな偶然は、将来的にこんなに和気あいあいとした関係になれる学生たちが、2年半前にたまたまこのクラスに集まってくれたからだろう。「フランス文化を学ぶ」という目的がそのきっかけだったとしたなら嬉しい。
 
鍋を底まで空にした後、何度も何度も各自が持ってきたカメラで記念撮影をした。店を出たところであらためて店の名前を見たら「とれびあん」と書かれていてふたたび笑った。まさにTrès bien!なクラスコンパだった。お店のみなさん遅くまでありがとうございました。 (番場 寛)

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