アンコール、『アンコール』(国際ラカン協会の夏のセミナー2010)

ページを開いたら、三宅先生が新しく書いておられる、
書かれたばかりなのにトップから送ってしまってすみません、お詫びします。みなさん三宅先生の記述も新しいものです。
さっきお昼を食べたのだが、うっかりして水差し入りのワインを頼んだら、おそらく500ccだったらしい。すっかりいい気持で昼のパリを酔った眼差しで歩いてしまった。飲み物は? と聞かれると、ついワインを頼んでしまう。京都に帰ってから注意しなくては。
 
25日に始まったセミナーはラカンの1972-73年のセミナー『アンコールencore』をめぐるものであった。初日は9時に始まると言うので時間より早めに手続きを済ませて一番前に座って待っているのだが、なかなか始まらない。もうすぐ10時になろうかとするとき、この「国際ラカン協会」の中心人物シャルル・メルマンが突然始めた。「アンコール、アンコール」と最初戸惑ったがすぐに分かった。フランス語のencoreには「また、再び」と言う意味と「未だ」という意味があるのだが、最初のアンコールは「また、再び」という意味で2度目のアンコールはラカンのセミナーのタイトルであった。この協会では数年ほど前の夏のセミナーでこの『アンコール』を主題としたセミナーを一回開いている。それで今回は「再び」このテキストを扱うという意味である。

随分と準備したつもりなのにやはり聞いていて理解できない。分かる部分はぞくぞくするほど面白いので余計くやしい。ただ最初の紹介者が言ったことが印象的だ。唯一法的に認められたものとして出回っているSeuil版のencoreは驚くほど量的に圧縮されていることが残念だと言うこと。その理由はラカンが例えば「享楽jouissanceは何のやくにもたたないだろう」と言っている箇所、実際の録音の写しに忠実な「ラカン協会版」を見ると、そういう前のラカンのためらい、言い直しがよくわかるからだという。

発表は勿論理解できたものもあるが、聞いていてノートが取れないため大部分を今は忘れてしまっている。帰ってから録音を聞いて少しは理解できることを祈っている。それでもほぼ完全に分かったと思ったのは、ステファヌ・チビエルジュ氏の奥さんで分析家の那須絵里子さんの発表である。驚いた。彼女は、中国から伝わった漢字文化に対しそれをくずしひらがなを生み出し、たとえば紫式部が源氏物語を書いたように、男性的な象徴界を崩し、破壊するものとして生み出していったエクリチュールに「他者の享楽jouissance de l’Artre」が現われており、現代のある女性のマンガ家にもその「享楽」は実現されているという内容を発表したが、300人から400人の会場にいつ会員からは熱烈な拍手をもらっていた。ラカンのこの時期のAutre を女性と確定することには個人的にはまだ分からない点もあるが、地下鉄の中で偶然一緒にこの派の長であるラカンの一番弟子であったシャルル・メルマンにも確認したが、「そうだ」と答えた。

実は昨日から少しこれを書き始めたのだが、終わることができない。実は最終日なのにひどい下痢をしてしまい。部屋にとどまっているつもりだ。窓からは抜けるように青い空が広がっている。このホテルのあるレピュブリック広場周辺は庶民的な界隈である。浮浪者も数人いるし、みんなくつろいで日常を送っているように見える。

今日はルーヴルかオルセーに行こうと思っていたのだが仕方がない。またいつか来れられるだろう。でも思えば今回は本当についていた。5月に来たときに逃していた、サンローラン展も、ゲーンス・ブールの生涯の劇映画も(とても面白い、はやく日本でもやってほしい)、ルイーズ・ブルジョワが自分の生涯と「スパイダー」という彫刻につついて語った記録映画もセミナーの合間に見ることができたからだ。

今は日に2回受けている分析も少し深まったような気がする。自由連想ではなく初めてラカンの理論でどうしても分からないところを話したところ、びっくりするくらい彼女は自分の考えと、ぼくに対する分析を初めて述べたからだ。

殺人的な暑さだと伝えられている京都に、不思議と今は帰れることを楽しみにしている。
                               (番場 寛)

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