「奇跡(?)」のダンス(「鳥の演劇祭4」の観客の前で踊って)

 嵐のような4日間が過ぎ、疲労というより緊張が解け惚けたような状態だ。9月17日と18日に鳥取の鹿野町にある「鳥の劇場」の演劇祭に7人のオヤジ(青年も混じっているが)の一人として加わり、およそ3ヶ月間練習し、創り上げたダンスを踊った。
 
9月11日に普段顔なじみのダンス関係の人たちを招いて試演会をしたのだが、そこでぼく自身がソロで踊る場面について、強烈なダメだしをされ、同じことを見ていた振り付けのアドバイザーの山田珠美さんからも後で指摘され、考え込んでしまった。

出発前の15日に京都で、プロデューサーの水野立子さんからもひとりで特訓を受けたのだが、振り付けが決まらない。鳥取についてからも他のメンバーもそうだが、水野さんと山田さんの厳しいチェックを受け会場の都合でクーラーをつけられない時間も練習を続けた。

表現したいことは明確なのに、それを言語ではなく、身体で表さなくてはならない。ぼくのシーンは転がっている死体を見て驚愕、絶叫し、悶え苦しむ、そして不可能と知りながら死者を生き返らせようとするというものだが、最初その死体との関係性を踊りで表そうとして「こ芝居」つまり猿芝居だと言われたのだ。

7月14日にソロで踊った時のことを思い出せ、そのときは自身の想像力と集中力だけで踊っていたと言われ、振り付けを変えた。分かったのは踊りにおいては、身体は強烈な想像力に反応するのであり、それは視覚に反応する意識的な動きをはるかに凌ぐということだ。

何度議論しても踊りたいダンス作品のコンセプトで全員の一致をみることができず、具体的な動きから振り付けを創っていったのだが、最後までそれは続いた。パンフレットに載せるコンセプトの文案をぼくが担当し、文章はどうにか同意を得られたのだが、タイトルで、まためいめい意見が割れて決まらない。ぼく自身は「復活2011」としたかったのだが、それは重すぎるし、われわれのダンスにはふさわしくないということで、以下のように決まった。

確かにこれはわれわれのダンスの全ての場面を表していると思う。つまりごく簡単に言えば「転んでは起きあがる」ダンスだからだ。

採用されたダンスコンセプト

ロスホコス立ち上がる

無邪気に遊んだ少年期にはもう戻れない。
失った時間、失った若さを取り戻そうとすることの愚かさも知っている。
自然が引き起こした大惨事と、限界を超えてしまった科学技術の末路に、なすすべもなくもがくわれわれ。
亡くなった人々を生き返らすことはできない。
失望、絶望、抑圧、喪失、そしていつか確実に訪れる死におびえるこの肉体だとしても、
これらすべての暗闇を一気に輝きに転じることはできないだろうか?
ほんの一瞬、ほんの一瞬でいい、社会と家庭ですり減ったこの身体が弾け、しなやかに重力から解放される夢を見ることは許されないのだろうか?
その不可能な夢を見るのがダンスであり、
京都の室町明倫地区に生まれた集団が、鳥取で踊るこのダンスこそそれなのだ。

プロのダンサーではない、その地域の住民たちが指導を受けながら自分たちで踊りをつくっていき観客の前で披露する「コミュニティ・ダンス」の運動が全国に広がっていると聞く。仕事や家事など限定された動きに縛られた身体を解放すること、赤ちゃんや幼い頃に感じていた筈の身体の動きの喜びを回復すること(苦しかったが舞台上を何度も這いまわるシーンは、あれは赤ちゃんのハイハイではないか)、そうした喜びがダンスにはある。

しかし今回それにも増して自分にとって必要な経験だったと思うのは、経験も考えも異なる他人と意見をすり合わせながら一つの作品を創り上げていくという経験である。お互いに踊りたいダンスが違っているので、各自がソロで踊った場面を他のメンバーが引きたてるように踊ることで出来上がった作品という印象を受けた。それがどうにか繋がり25分のひとつの作品として成立したという点では大げさだが「奇跡のダンス」と言ってもいいかもしれない。

「恋は魂の修行」だと言ったのは中谷彰宏だが、ぼくにとってはダンスも「魂の修行」であった。他人を理解し、自分で抑えようとしたつもりでもどうしても出てしまったぼくの「我の強さ」をどうか許してほしい。関係者、メンバーのみなさま、鳥取のダンサーのみなさま、そして支配人である中島諒人さんを初めとする「鳥の劇場」スタッフのみなさま本当にありがとうございました。(2011年9月21日。番場 寛)

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