大谷大学オープンキャンパス(8月4,5,6日)と模擬授業の宣伝―たとえ聴衆が一人だとしても―

授業は終わったが採点や会議でなかなか夏休みに入られない。学生のみなさんはレポート提出お疲れさんでした。昨夜はゼミの学生とフレンチレストランで食事会を行い楽しく過ごすことができた。食事中に電話があった一人の女子学生が就職の内定の知らせだったということで一層盛り上がった。
 
さて、この場を借りて宣伝をさせてもらいたいのは、8月4日の11時20分から何年かぶりで模擬授業を行うからだ。国際文化学科でフランス文化のゼミを担当しているのだが、2年前くらいからフランスおよびフランス語の人気が少なくなっているような感じを受け、これは何とかしなくてはと思い、オープンキャンパスに来てくれる高校生にフランスの魅力の一部でも伝えられないかと思った。
 
テレビをつければ映し出され、流れるのはKポップスが多く、フレンチポップスで流れるのは70年代、80年代の古い曲で、コマーシャルで使われるだけで今の若者は、フランスの曲だと知らないのではないだろうか? 
 
今の高校生にどのような話ができるかと考えると自信はないが、童話とフランス料理を糸口にフランス文化の魅力と、フランス的な考え方の一部でも紹介できればと思っている。

心配なのは模擬授業の出席者がいるかどうかである。それについて思い出すのは、今は退職されたある先生が昔模擬授業を行ったときの話である。時間が遅かったのと同時間に多くの模擬授業があったせいか、その先生の授業の出席者は殆どいなかったのだそうである。それを見かねたのか、学内職員の数名が聴いてくれたのだそうだ。

「聴衆」という言葉からはいろいろな思い出が蘇る。学生の頃ある先生からフランスのコレージュ・ド・フランスのことを聞いた。そこはフランスの学者、思想家にとって最も名誉ある場であり、誰でもが無料で講義を聴くことができる場なのだが、日によっては誰も聴衆がいないときもあったそうだ。ポール・ヴァレリーだったと思う。彼がある日教壇に立ったら誰も聴衆がいない。それで帰ろうとしたときである。雨か何かでその部屋に避難したのであろう。ひとりの浮浪者がその部屋に入ってきたのだそうだ。それで20世紀最高の知性の一つと呼ばれるヴァレリーはいつものように講義を続けたということである。

2003年のアヴィニョン世界演劇祭は政府の舞台芸術関係労働者への待遇の援助引き下げ法案に反対して殆どすべての劇団がストライキを行った。せっかくアヴィニョンまで行ったのに殆ど劇を観ることはできない。かろうじて演じているのは生活がかかっており、ストライキに参加できない劇団ばかりだった。その数少ない劇のひとつを観ようと演じられる場所までいったときのことだ、客はぼくとあと一人の女性しかいない。俳優のひとりから悪いが明日もう一度来てもらえないかと頼まれた。しかし翌日はパリに帰る予定だったのでどうしてもその日観たいと説明したら、承知して劇が始まった。客が2人で演じる人が6・7名だったようだ。名もない劇団とはいえさすがに鍛えられていると感心したときだった。中年の男の俳優が舞台で声をあげて苦しみ始めた。急に演技が中断し、一人の俳優が病気で今日は演じることはできないと言われ入場料は払い戻された。真実は分からないが、たとえ一人でも客がいれば全力で演じるべきだという思いはその時以来ずっと変わらない。

それに関して、ことし聞いた話で感動したことがある。いまでこそ人気No.1のアイドルグループ、AKB48は一挙一動が話題にのぼるが、5年前は一部のファンにしか知られていず、日に何回か公演を行う秋葉原の劇場では、客が誰もいないときさえあったそうだ。それでも彼女たちは誰も客のいない客席に向かって歌い、踊り、微笑み手を振っていたそうである。

観ることはできなかったそのときの彼女たちのことを思うと、誰もいなければさすがにできないが一人でもいれば精一杯話すつもりだ。

模擬授業は11時20分から40分間、午後はブースで国際文化学科についての質問に答えます。たぶん彼女たちがこれを読んでいる可能性は殆どないのですが、今年の「京都の暑い夏」のコンテンポラリーダンスに参加してぶざまなぼくと一緒に踊った女子高校生のみなさん、もしよかったらぼくの授業を受けに来てください、ね。
                        (2012年8月1日。番場 寛)  

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大谷大学オープンキャンパス(8月4,5,6日)と模擬授業の宣伝―たとえ聴衆が一人だとしても―」への1件のフィードバック

  1. htiger

    こんにちは。
    模擬授業、私が高校生やったら絶対行くのにと、思わずコメントしてしまいました。
    すいません(汗)
    こちらのブログは毎回読んでいて、とても面白いし勉強になります。
    学生のころに,もっと勉強していたらよかったと思うくらいです。
    これからも、楽しみにしていますので、更新頑張ってください。

    同じコメントを手違いで2つ投稿してしまいましたので、途中で切れている方の削除お願い致します。
    初コメントのとき、あいさつもせず投稿してしまい、誠に申し訳ございませんでした。

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