青空の孤独(夏休み2日目)

学生から提出してもらったレポートを読んだ上で、何人かの学生に連絡して書き直して再提出してもらって前期の成績を提出し、ようやく夏休みに入ることができた。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

 ある研究会後の懇親会のときにひとりの先生から「・・・さんは24時間みんな自分のためだけに使えるんですねえ」とうらやましそうに言われた。その先生は家庭では主婦、妻、母親という役を立派にこなしていることに感心するとともに、自分はそうした人から見れば確かにそう思われるのだろうと思った。それでも普段、授業や学生指導や会議などに追われていると自分のためだけに時間を使っているとは思えない。

ところが今は本当に24時間使えるのだ。朝起きてそのことを自分に言い聞かせると身震いした。幸い昨日から蒸し暑さが嘘のように和らぎ、窓を開けていると冷たい風が心地よい。大部分がコンクリートに覆われている都会のど真ん中なのに蝉の鳴き声に一瞬気が遠くなるようだ。どう過ごそうこの丸ごとの自由な24時間を。

去年の今頃はひょんなことで発表することになったダンスを仲間のオヤジたちと練習していた。絶対来年の夏は自分の研究と読書と文章を書くことに捧げようと誓っていたことを思い出した。それで今年はダンスのワークショップにも参加せず、机に向かおうと誓った筈だった。しかし映画やダンスや劇(大谷の蒲団座のものまで観てしまった)の誘惑は強い。

今年も月末からパリで行われる「国際ラカン協会」のセミナーに参加する申し込みをしている。今年のテーマはラカンのセミネール22巻の『R.S.I(現実界、象徴界、想像界』を巡るセミナーで、感慨深いのはこのテーマは、ぼくが研究休暇でパリに滞在していた年のテーマと同じものだからだ。今度こそ、絶対前より分かるようになりたい。

しかし、常に運動していないと体の筋肉がなまるのと同じように、最近読書量が減っており、活字を追って考える力が衰えていることを感じる以上に、机に座っていることに絶えられなくなる時間が短くなっていることにあきれる。何が何でも出発までに『R.S.I』を自分なりに理解しておくことと、学生の卒論指導のために読もうと思っていた本(フーコー『監獄の誕生』、ブレナー『チョコレートの帝国』小野原教子『戦う衣服』・・・)、中断していた多くの小説(古井由吉、P.オースター)を読むことにこの24時間を捧げよう。

気分を変えるために外へ出る。気が遠くなるような蝉の声のなか、空を見上げると一面の青が広がっている。ふとみんな何をしているのだろうという疑問が浮かんだ。こんな感じはずっと昔からあったことに気づく。完全に自由になったとき、これから自分は何をしたらいいのだろうと思うことは、嬉しいはずなのに不安も覚える。休みの時に青空を見上げるといつも孤独を感じる。

あなたはそんなことないですか?(2012年8月9日。番場 寛) 

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青空の孤独(夏休み2日目)」への1件のフィードバック

  1. htiger

    こんにちは。
    小説を読んで一日を過ごすなんていいですね。
    私は、前から読んでみたい本はあるんですが(ハンバーガーの怖い話、アメリカと肥満についての本、マクドナルドについて)書店になくて、中身がわからないので買うのをためらっています。
    小説も惹かれるものがなく、何かしら読みたいけど…という感じです。

    夏は大好きですね。7月生まれなので。
    ギラギラ焼けつく太陽とか、青い空に浮かぶ白い雲とか、たまりません。
    草生す道の風の匂いとか、めっちゃ夏やなあと思ってしまいます。

    なので、寂しさを感じるのは、私の場合は冬ですね。
    今年の春先は福島県にいたのですが、寒すぎました。

    寒い冬が来る前に、暑い夏を楽しく過ごしたいと思います(笑)

    お忙しい中、この前のコメントにお返事をいただきありがとうございました。

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